出店者様向け|B工事って何?工事区分とは?教えます
基礎知識皆様こんにちは!
店舗デザイン設計会社のマティータです。
今回は工事区分についてお話します。
商業施設やオフィスビルなど、テナントとして賃貸契約し入居工事をする場合は「工事区分」というものが発生することがあります。A工事・B工事・C工事などという言葉を聞いた事ある方もいるかと思います。今回はこの「工事区分」についてお話ししたいと思います。出店経験の無い方は耳にしない言葉かもしれませんが、実は多くの人が工事区分に関わっていますし、今後自分の店を持ちたいと思っている方は覚えておいた方が良い内容ですので、ぜひ最後までお付き合いお願いします。
■目次■
1_工事区分とはこんな感じです 2_工事区分はこのように分かれてます 3_B工事とは何?教えます 4_B工事に関しての注意点はこれ! 5_まとめ |
ちなみにですがこの先に「貸主」という言葉が出てきます。
貸主というのは建物全体を所有している例や、マンションなどの一室だけを所有している例など様々な例がありますが、今回の貸主は
「建物全体を所有している建築主・管理者」
的なイメージで使用させて頂きます。
1_工事区分とはこんな感じです
まず始めに工事区分とは何かをお話ししていきます。簡単に言ってしまうと
「貸主工事と借主工事の線引き」
です。賃貸契約をすると「貸主と借主」という立場の人が現れます。この両者の間には必ず「工事区分」というものが発生します。お店など持っていない出店などには関係ないという皆様でも、実はこの「工事区分」というものに関わっています。それを今から一番簡単な身近な例で説明いたします。
例として賃貸住居にて一人暮らしを始めるとしましょう。まず引越し前の状態を思い浮かべてください。大体が床壁天井が出来ていて、キッチン・トイレ・ユニットバスなどが設置されている状態ではないでしょうか。その後に皆様がベットやソファやテーブルなどを設置して引っ越しが完了します。この場合の工事区分は
<一人暮らし計画>
・貸主工事:床壁天井の仕上げ、キッチンやトイレやユニットバスの設置など ・借主工事:ベットやソファやテーブルの設置など |
と、なります。ここまで聞くと皆様もお気づきかと思いますが
工事の線引き=所有(負担)者の線引き
とも言えますね。
経験ある方もいるかと思いますがこんな事もありますよね。
借主の方は貸主さんのトイレを借りて使っていて、
このトイレが壊れた場合は貸主さんへ連絡して貸主さん負担で直してもらう
使っているのは借主だけど直すのは貸主となるのはこういう事です。月々の家賃は貸主の持物の使用料も込みということですね。
これが工事区分の基本的な考え方となります。一人暮らしの契約の場合はなかなか工事区分という言葉は出てこないですが、実は皆様も携わっていたのです。
2_工事区分はこのように分かれてます
続いては工事区分はどのように分けられているかについてお話ししたいと思います。
先述した通りこの区分は「貸主と借主の工事の線引き」で、区分は原則貸主が決めます。
そしてこの区分には呼び名がついています。これは貸主によって色々あるのですが、一番多い呼び名こそが
「A・B・C」工事
になります。それ以外だと「甲・乙・丙」工事や、A・B・C工事の中にも「B1・B2」などもう少し細かく分かれている場合もあります。
今回は一番多い「ABC工事」の呼び方にてこの先説明させて頂きます。
そしてABC工事の内容はどのようになっているか!それはこちらです。
<工事区分>
A工事:貸主指定業者工事・貸主費用負担 B工事:貸主指定業者工事・借主費用負担 C工事:借主指定業者工事・借主費用負担 |
※この例以外にも色々なケースがあります。
<先述の「一人暮らし計画」は?>
・貸主工事(A工事):床壁天井の仕上げ、キッチンやトイレやユニットバスの設置など ・借主工事(C工事):ベットやソファやテーブルの設置など |
A工事とC工事は先述した通りの内容ですね。
・貸主(A工事)は借主に貸せる状態にするために工事を行う
・借主(C工事)はその他必要なものを自分たちで揃える
そしてこのAとCの間に入るB工事とは何?何故必要?これについては次項にて説明いたします。
3_B工事とは何?教えます
ではこのB工事とは実際にどういう工事なのか、何故必要なのか、どういうケースで発生するのかなどをお話ししたいと思います。
ただこのB工事についての考え方や区分は貸主の考え方で大きく変わってきます。ですので今回は一番よくあるケース・考え方を例にお話ししていきます。
それではB工事について疑問がいくつかあると思いますので、質問・回答形式でお話しします。
ーB工事とは何ですか?ー
A:貸主の指定する業者で工事は行い、費用は借主が負担する工事です。
ーB工事内容は誰が決めるのですか?ー
A:B工事内容・工事区分は原則貸主が決定します。ただ賃貸契約の段階で貸主と借主の間で協議の末、変わる場合もあります。
ーB工事になる内容はどんなものがありますか?ー
A:先述した通り内容は色々なケースがありますが、主に一例として
・他の入居区画や共用部とも連動している消防設備工事
・施工不良があった場合、他の入居区画や共用部にも被害を及ぼしそうな防水工事
・入居者の要望する計画のために必要な入居区画外で行う工事
などがB工事になる例が多いです。
ーB工事が発生するのはどんなケースですか?ー
A:貸主が定めた工事区分に、借主が希望する計画内容が該当した場合に発生します。
例1)
借主:入居区画内に部屋を作りたいので、壁の造作工事と消防設備の増設工事が必要になります
貸主:壁の造作はC工事で良いですが、消防設備増設工事はB工事になります。
例2)
借主:入居区画内に厨房を作りたいので、防水工事が発生します。
貸主:防水工事はB工事になります。その他はC工事で良いです。
例3)
借主:入居区画内にエアコンを増設したいです。
貸主:室外機から室内機までの配管は、他の区画や共用部の天井内を通るのでB工事になります。
ー何故B工事は必要なのですか?何故借主ではなく貸主の業者で工事を行うのですか?ー
A:仮に貸主が建築主で「建物全体の管理者」だったとしましょう。そういう立場上当然ながら「建物全体の安全」に関しては徹底管理します。ですので他の入居区画や共用部に連動している、あるいは影響・被害を及ぼす可能性のある工事内容に関しては「貸主が信頼出来る工事業者」にて工事を行い、「施工不良などが絶対に無いようにしたい」という考えでB工事が必要であり、B工事は貸主指定の業者で工事を行うという考えが多いです。あとは共用のもの、全入居区画に関わるものは「誰が何処を工事したかわからなくなる」という管理面の問題も防ぐために1社で工事を行なった方が良いというのもあります。
以上がB工事の説明や考え方の一例になります。
色々なケースはありますが、B工事というのは借主の計画・要望により発生するというのだけは覚えておきましょう。
4_B工事に関しての注意点はこれ!
続いてはB工事に関する注意点です。こちらは1点だけ、工事金額ですね。
一般的に言われているのが
「B工事は高い!」
工事金額というのはある程度の単価はありますが「定価」というのはありません。ですので指定工事業者だと金額が高いケースが多いです。
ですのでその際は専門家に適正価格を査定してもらい、少しでも工事金額を下げられるようにしましょう。
5_まとめ
最後はまとめです。
<工事区分やB工事について>
・工事区分というのは貸主工事と借主工事の線引きです ・B工事というのは建物全体の安全や管理のために必要な区分です ・B工事というのは借主の計画や要望により発生します ・B工事金額は高い例が多いので注意しましょう |
先述した通り実はこの「工事区分」というのは、全ての人が関わっていると言っても過言ではありません。
あなたの家のトイレは誰の所有物ですか?キッチンはあなたの物ですか?などなど、
皆様の周りにも沢山該当するものがあると思いますので気を付けて下さい。
是非参考にしてみてください。
以上です。
最後までお付き合い頂きありがとうございます